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2018/03/22(木)14:41
そろそろ「卒業後」に思いがはせる、大学4年生の冬の夜でした。

帰宅途上の私は、いつものように相模大野駅で下りの急行を下りると、通過待ちをしていた各駅電車に乗り換えました。


人気のないホームにホイッスルが響いてドアが閉まると、動き始めた電車は各駅停車であることを忘れたかのように、寒々しい闇のなかをスピードをましてゆきます。さっと車内を見渡すと、夜更けの時間に乗客の姿はまばらで、私の真向かいには、風采があがらない中年男性がひとりぽつんと座っていました。


見るともなくときおり正面にも目をやっていたのですが、ほどなくして、その「紳士」が私のことを凝視しているように思い始めました。最初は私の背後の、外の景色を見ているのかと思いましたが、郊外の線路沿いは、ときおり何かの照明が過ってゆくほかは暗闇です。「紳士」の執拗な視線の向け先は私であり、真剣に私の顔のあたりをなぞっているように見えました。

気味が悪くなり席を変えようかと思いましたが、やおらその「紳士」は立ちあがって、網棚から手荷物を下しはじめたので、やれやれ、つぎの駅で下車するのだろうと内心ホッとしたものです。

ところがその「紳士」ときたら、なんと今度は荷物を抱えて私の横に座り直すと、電車がひとつ目の駅に着いてもまったく下りる気配がないのです━━車内はこんなに空いているのに何んでまた?。


そう思う間もなく「紳士」は私に半身を向けながら、問わず語りに話しはじめたのでした。
私の最寄り駅より一つ先の、隣接する町で占い師をしていて、その方面では高名な存在なのだと。
相談や依頼で全国を飛びまわることが多く、その日も中部地方のさる都市からの「出張帰り」で、たまたま私の前に座ったところ、(霊視能力で)私についていろいろと見えたので、そのことを是非伝えてあげようと言われたのです。


それを聞いた私は、できれば耳にしたくない「怖い話」を聞かせたうえで、除霊や厄払いと称して商売に結び付けようとするのではないかという疑いが脳裏をかすめました。相手を不安にさせて高額な物品を押し付け販売する、そのような悪質商法がニュースになっていたのです。

おそるおそる訊いてみると、私のまわりにいくつかの人の顔が見えると言われました。

いよいよ不安が募り、「それはよい霊ですか」と思い切って尋ねてみると、どうやら先祖の、それもとてもよい霊たちが私を護ってくれているとのことでした。

「先生」はつね日頃、決して無料で見ることはないそうで、その夜とった行動は異例だとのことでした。
それほどに強い力で私は護られていたのか!━━まったく意識したことなかったが、幼いころからよいひと達に出会えてきたと思えるのはそういうことであったのか!。母が「ボクは運がいからね」と、終生、励ましにも似た言葉をかけてくれていたことを思います。

肩の力はひとまず抜けたものの、私が「先生」よりもひと駅先に下車するまで10分足らず。心の整理もできぬまま、はて何を聞こうかと、今度は質問を考える方に気がいってしまい、貴重なご指摘を憶えきれなかったことは残念です。

当時、一番気になっていたのはやはり就職先や業種でしたが、「先生」は、私がまったく念頭に置いていなかった建設方面がよいと教えてくれたのでした。もうひとつ言ってくれた業種は忘れてしまいました。

法学部出身の私は、すでに総合商社に内定しており、建設業界は建築専攻の別世界だと思っていたのでした。あのころ、建設会社はよく「土建屋」といわれ、不動産会社も、「駅から〇分」があてにならない町の不動産屋のいい加減で前近代的な存在に思えて、決してイメージはよくはありませんでした。

実は、私が商社に入ってから、30歳台になったときに図らずも「建設不動産関連」の営業部に異動したのですが、そこで「先生」のこの見立てが決して的外れではなかったことがわかったのでした。

生き馬の目を抜くと言われる商社。
結局、建設不動産部門以外の配属先は、不器用でノンビリ人間だった自分の適性に合わずに早期退職し、母校の地で「3つのオレンジへの恋」を開く。そこでよき学生・教職員・社会人たちに出会い、愛されて早や16年あまり・・・・。

━━報酬なしでは見たことがないという慣例を破らせたほど、「占い師」の本能をかきたて、告げてくれた私の守護霊の強い存在。あのとき「先生」は、私が下車するまえに、紙片に連絡先を書いて渡してくれたが訪ねていくことはなかった━━いま「先生」が私の前に立てば、私の背後にいったい何を見るであろうか。守護霊はまだ見えるだろうか。






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早稲田大学南門前のオムライス店・3つのオレンジへの恋のオーナーブログです。元商社マン、母校の地で第二の人生をはじめました。

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